2013年10月16日水曜日

BMFSA2013年次大会にて情報工学科から6件の研究発表

バイオメディカル・ファジィ・システム学会第26回年次大会が平成251012()13()の日程で北海学園大学豊平キャンパス(北海道札幌市)にて開催されました.情報工学科からは,大学院生・卒研生併せて6件の研究発表を行いました(表1参照).

1.発表者と発表題目
谷村 祐
修士2
手指画像におけるカラーヒストグラム間のバタチャリヤ距離による生体認証手法の提案
牧野隆典
学部4
スマートフォンにおけるパターン認証の強化~軌跡情報および傾き情報に基づく生体認証~
山田健一朗
修士2
スマートフォンにおけるフリック操作を用いたバイオメトリクス認証手法―システム利用環境を想定した検証―
市村亮太
修士2
スマートフォンにおけるリズム認証手法実用化のための検討
仲濱正大
修士1
自己組織化マップを用いた在院日数予測と評価
星野裕樹
学部4
オンライン配布資料へのノート機能自動付与システムの開発~医療・福祉系大学における活用~

学生の発表風景は後程ご紹介するとして,最初に今回の学会の旅の様子を示します.


新千歳空港:バスターミナルにて
北海道の新千歳空港に到着し,これからバスでホテルに向かいます.今回の学会期間は三連休のためか,札幌市内のホテルは満室で予約できず,千歳のホテルに泊まることになりました.会場まで小一時間かかる場所ですが,それも旅気分が味わえて楽しいことでしょう.
みんな余裕があるように見えますが,実は明日の発表を前にしてドキドキ状態です.今回が初めての発表の人もおり,夕食後はスライドや発表のセリフ回しをチェックします.

雨上がりの札幌の街並み
今回は雨が降ったりやんだりの学会でした.雲の隙間から少しだけ青空が見えました.
全国的に気温が25℃以上の夏日を記録した地域も多く,場所によっては猛暑日を記録するなど,この時期としては記録的な季節外れの暑さが続いた10月上旬でしたが,やはり北海道の気候は神奈川よりひんやりしていて,朝晩はスーツの上着だけではちょっと肌寒い感じでした.
BMFSA26回年次大会(札幌)
今回の学会は北海学園大学にて開催されました.会場となった豊平キャンパスは,札幌市営地下鉄東豊線の「さっぽろ駅」からおよそ5分のところにある「学園前駅」の出口から直結しており,雨に濡れることもなく,無事,会場に到着です.立地条件に恵まれたきれいなキャンパスでした.
学会当日はちょうど学園祭が催されておりましたが,まだオープン前の準備中だったので,作業中の学生さんを横目に眺めつつ会場入りしました.
懇親会でのカニとジンギスカン
札幌の中島公園のそばにあるキリンビール園で懇親会が行われました.カニとジンギスカンに舌鼓をうちながら,冷たいビールをいただきます.学会発表の緊張から解放されて,至福の時を過ごしました.

ジンギスカンはマトン(成羊肉)やラム(仔羊肉)を中央部分が突起した特殊な鉄板で野菜とともに焼いて食べる鉄板焼肉料理です.専用のたれにつけて食べますが,とてもおいしかったです.食べ放題だったので学生たちも大満足の様子でした.

 「札幌観光」「札幌を代表する建築物」という言葉からイメージするのは,やはりこちらでしょう.札幌は今回が初めてという人もおり,リアルな風景に感動していました.お土産も買いました.


北海道庁旧本庁舎
札幌市時計台



もうひとつの旅の楽しみと言えば,ご当地グルメでしょう.海鮮料理とラーメンは外せない定番ということで,札幌滞在中にどちらも食べてみました.期待通り美味でした.

普通なら,昼食の次は夕食となるわけですが,食欲旺盛な学生たちには,「昼食」と「夕食」の間にもう1回食事が入るようです.来るときにも空港でラーメンを食べたのですが,帰るときにも空港でラーメンを食べに行きました.ラーメンは元気の源のようです.

三色ミニ海鮮丼
新千歳空港:北海道ラーメン道場にて

 続いて,研究の内容や今回の学会発表について,発表者のみなさんにインタビューをしてみました.彼らの生の声を以下にまとめます.日頃,研究室のゼミや実験の打ち合わせなどを行っているときには,「学生らしさ」全開で過ごしている彼らですが,学会旅に出かけて研究発表などの感想を書かせてみると,成長を感じることができて嬉しく思います.

谷村祐さん(修士2年)
Q1)今回発表した研究の目的は?
A1)実用化できる認証手法を提案すること.
Q2)今回の学会発表で一番印象に残った点は?
A2)Macがうまく繋がらなかったこと.
Q3)自分の発表や研究の中で改善したい点は?
A3)認証精度や具体的な機器の配置などを検討し,実用段階に近づけること.
Q4)学会に参加して楽しかったことや新たに発見したことは?
A4)質疑で様々な質問をしていただいてよかったです.
Q5)自由に感想をどうぞ.
A5)天気が良くない日が多くて残念でした.


牧野隆典さん(学部4年)
Q1)今回発表した研究の目的は?
A1)スマートフォンにおけるパターン認証の強化
Q2)今回の学会発表で一番印象に残った点は?
A2)緊張感がすごかったです.発表後,額から汗が流れていたのをよく覚えています.
Q3)自分の発表や研究の中で改善したい点は?
A3)発表に関して,原稿を見っぱなしであったのを改善したいです.「文を読む」だったので「発表する」に近づけていきます.研究に関して,これからの方針をしっかりと固めたいです.新たな生体情報を使って認証するのか,現在使っている認証精度を高めるのか,一度,区切りに入ったのだから,その辺を考え直していきます.
Q4)学会に参加して楽しかったことや新たに発見したことは?
A4)発表し,意見をもらう.それに大きな意味がありました.自分の考えが違って伝わっていることや,気がつかなかったことを知れるいい機会でした.
Q5)自由に感想をどうぞ.
A5)過ぎてしまえば,「大変有意義な時間を使えた」と実感しました.参加できてよかったです.


山田健一朗さん(修士2年)
Q1)今回発表した研究の目的は?
A1)スマートフォンにおけるフリック操作の特徴から個人識別を行っています.フリック操作から個人識別を行うことにより,アプリ使用中やメール中,インターネットサーフィン中など,すべての場合において個人識別が行えるようになり,盗難紛失時などのセキュリティ対策になり得ると考えています.
Q2)今回の学会発表で一番印象に残った点は?
A2)後輩の仲濱君が学生奨励賞を受賞したこと.
Q3)自分の発表や研究の中で改善したい点は?
A3)発表準備に時間を費やせるようにスケジューリングを行う点.
Q4)学会に参加して楽しかったことや新たに発見したことは?
A4)北海道はとても寒かったです.少し自分の専門分野と違う学会だからこそ,今までにないご意見をいただけるという点.今後の研究の励みになりました.
Q5)自由に感想をどうぞ.
A5)人生初ジンギスカンを楽しみにしていましたが自分が想像していた味より普通の肉でした.美味しかったです.
市村亮太さん(修士2年)
Q1)今回発表した研究の目的は?
A1)提案しているリズム認証手法の認証精度が満足のいく結果となったため,システム実用化のための検討を行うことにした.目的は,SOM(自己組織化マップ),K-means法,7次元ユークリッド距離を用いた各分析手法を比較し,適切な識別器を明らかにすること.また,リズム認証手法が実用化したら何が嬉しいのか?といった点に触れていくことで,論文投稿を行うためのヒントを得ることである.
Q2)今回の学会発表で一番印象に残った点は?
A2)10月,北海道は寒いということ.
Q3)自分の発表や研究の中で改善したい点は?
A3)リズム認証手法について,面白いねと言ってもらえたことで価値を感じてもらえたと思う.しかし,改善すべき点も多くみられた.こういった点をひとつずつ解消していくことで,いずれリズム認証手法を実用化させたい.
Q4)学会に参加して楽しかったことや新たに発見したことは?
A4)学会に参加することで,地方であればその土地のものを堪能することができる.準備から発表までで多くのことを学び,これも貴重な体験だといえるが,知らない世界,地方を堪能するということにそれと同等の価値を感じる.
Q5)自由に感想をどうぞ.
A5)大学院生になって研究を行っていくなかで,自分が成長していくのを感じる.大学生活の4年間以上に,この2年間は濃い時間だと思えた.大学院に行ける余裕がある人は,ぜひとも進学を考えてみてほしい.
仲濱正大さん(修士1年)
Q1)今回発表した研究の目的は?
A1)標準化された診療情報であるDPCデータを分析して,患者さまの入院日数を予測することです.
Q2)今回の学会発表で一番印象に残った点は?
A2)DPCデータの分析に使用している手法である自己組織化マップの研究で著名な先生とお会いしてお話を伺うことが出来たことです.
Q3)自分の発表や研究の中で改善したい点は?
A3)他大学の発表を見て,自分の研究は研究背景・関連研究の調査が不十分であると感じました.
Q4)学会に参加して楽しかったことや新たに発見したことは?
A4)論文集の中で紹介されているシステムが実際に動作しているところを見られたことです.
Q5)自由に感想をどうぞ.
A5)今回の学会で学生奨励賞を頂きました.表彰されることを学生生活の目標の1つとしていたので,一歩前進することができました.今後もより一層,研究に励みたいと思います.


星野裕樹さん(学部4年)
Q1)今回発表した研究の目的は?
A1)授業内で取ったノートをサーバ上に保存して蓄積し,様々なことに活用できるようにすることです.学生が後でノートを見直して今後の勉強に役立てたり,ノートを学生間で共有してノートの取り方を参考にすることもできます.また,教員は蓄積されたノートを見ることで,学生の学習状況を詳細に知ることができ,その他にもノートに書き込んだ量と成績との相関を調べることもできます.
Q2)今回の学会発表で一番印象に残った点は?
A2)発表後に行われた懇親会が印象に残っています.普段は話す機会のない方達といろいろと話すことができ,とても良い経験ができました.
Q3)自分の発表や研究の中で改善したい点は?
A3)システムが作った合成資料は,ノート記述欄に書き込んだ文字をサーバに送信するといった機能があります.しかし,ペン機能で描かれた線を送信することはできません.送信できるようになれば,今以上に便利なシステムになるので,どうにか改善したいと思います.
Q4)学会に参加して楽しかったことや新たに発見したことは?
A4)学会で発表することは準備も含めて大変ですが,それだけの価値もあるということがよくわかりました.発表する場所によって聴講者が何を専門にしている人なのかが異なり,様々な視点からの意見を聴くことができるので,研究に役立つと思いました.
Q5)自由に感想をどうぞ.
A5)9月の初めての発表から今回で3回目の発表となり,短期間のうちに多くの経験をしたので,学会での発表に関しては慣れました.学会で発表する機会は多くあるので,これからも積極的に参加したいと思います.

 次の学会発表は電子情報通信学会のヒューマンコミュニケーショングループによるHCGシンポジウム2013を予定しています.情報工学科のいくつかの研究室から何件か発表予定です.それぞれのテーマでみんな頑張っていますので,次回学会旅レポートもご期待ください.

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