2008年9月23日火曜日

第1回 相浦 准教授

地区物流におけるインフラマネジメントが都市内交通・物流に与える影響に関する研究


貨物車両は私たちの生活を支える縁の下の力持ち


物流システムは,現代社会において人間の諸活動を支える不可欠の社会システムです. 近年の物流システムを取り巻く環境としては,貨物輸送に対する需要の継続的な増加と,ジャストインタイム型輸配送,高頻度型配送,宅配便に代表される要求サービスレベルの高水準化があげられます.需要の増加とサービスレベルの高水準化は都市部における貨物車両の増加を引き起こし,この現象が環境負荷の増大,事故および渋滞の発生に大きく影響しています.特に地区内物流における路上荷捌き(荷物の集配のために道路上で駐停車し荷物の積み下ろしする行為)がそれらの大きな原因であるとされています.



近年,路上荷捌きの路外転換による道路交通の円滑化を目途とした社会実験が盛んに行われています. しかしそれらの多くは,インフラとなる荷捌き施設の利用者が営利を目的とする民間企業であることから,インフラの永続的な提供の困難性やインフラ管理に関係する駐車場法,道路交通法などの法令・制度が障害となり,実験後の本格実施に展開していません.
しかしながら,都市内を走行する営業用貨物車両の多くが不特定多数の荷主間の荷物を扱っているという事実から鑑みると,地区内物流おける貨物車交通の多くは公共交通と言っても過言ではありません.しかし,インフラ整備・管理に関する行政・自治体等からの支援は,バス,鉄道,タクシー等の公共交通に対する支援と比較すると極めて脆弱です.


様々な立場から解決していくべき課題

このような背景から,地区内物流システムにおけるインフラ整備・管理が地区内物流の効率化および都市内交通の改善に与える影響, 荷捌き施設の主たる利用者である民間物流企業の活動を助成する形となるインフラ(荷捌き施設)整備・管理が及ぼす社会的影響,の2点を明らかにすることを目的に研究を進めています. 具体的には,下記(a)(b)を行っています.

(a) 関係主体の意識・行動に関する調査および分析:
地区内物流に関係する5主体(行政,荷主,地域住民, 物流企業,他交通者)に対し,路上荷捌きに関する意識調査を実施する.加えて,(b)シミュレーションモデルに内包される駐停車選択行動モデル,荷捌き施設選択行動モデルの基礎データを収集する.

(b) シミュレーションモデルの構築:
本モデルは、物流企業以外の主体への影響((a)の考察結果により設定)と物流システムの効率性を評価指標として、荷捌き施設の整備・管理要件を求めるものである.

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