2011年2月21日月曜日

教員のお仕事

教員のお仕事 - 番外編 -


先日、いわゆる学外業務(下記参照)でつくばの宇宙センターへ行ってきました。さっそく、レポートします。が、その前に、...。

大学教員の仕事は基本的に次の3つに分けられます。

教育:これは事前準備を含め、講義や実験授業を行うこと(成績づけもあります)や学生のケア(よろず相談受付。残念ながら、私は学生から恋の悩みの相談を受けたことはありません。そのときは、豊かな経験?から実践に基づく有益なアドバイスができると思っているのですが・・・)などです。
研究:これは、自分の専門分野の課題に取り組み、新たな知見を得て、それを国内外に発表したりすること。教員のスタイルにもよりますが、研究室の学生と一緒に取り組む場合が多いです(少なくとも私はこのタイプですので、学生への期待度は高いです(笑))。
学内業務:これは、講義のカリキュラムを検討したり、入試問題の作成や採点など。最近はオープンキャンパス関係の仕事も多いです。

その他に、学外業務と呼ばれるものがあります。これは、学会(研究の専門領域を同じくする大学教員や企業の研究者などから構成される非営利団体のこと。例えば、電子通信学会、情報処理学会などが情報工学科の教員が多く所属しています)のボランティア業務(学会発表のプログラム編成、研究会の世話人や論文の編集、論文の査読(論文の受理/拒絶の判断など)や教科書の執筆、国が運営している審議会など各種委員会の委員などがあります。

前置きはここまで。

私は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究開発本部の外部評価委員を仰せつかっています。今日、その評価委員会に出席し、有益な(ちなみに、そう思っているのは本人だけかも)指摘、コメント、僭越ながら得点付けをしてきました。なお、この評価委員は主として大学の先生で、私を含めて6名が構成メンバーです。

現場で撮った写真とともに(具体的な評価会の内容やもようはオープンに出来ません)。例年2日間フルで出席していますが、今年は修士論文の発表会と重なったので、1日のみの参加となりました。助かった。丸二日間行うと、本当に疲弊します。皆さん、立派な先生ばかりなので、自分の指摘やコメントが浮いていないか?と心配になります。



ここが評価会の行われた建物。この2Fで朝から夕方まで、缶詰め状態でした。前にはH2型ロケットがあります。長さは約50mです。ロケットの打上げは、ここ、つくばではなく、種子島です。

一気にワープ(評価会の報告はスキップ)します。お昼休み、JAXAの事務局の方が新しくできた展示館に案内してくれました。土日も含め一般の方々に公開しているとのことです。



見学旅行の生徒さんを乗せたバスも数台ありました。




ここから新しくできた展示ホールの展示物の紹介をします。宇宙関係に興味ある方はどうぞ。これは誰でもわかりますね。宇宙服です。この後ろに回って、顔を出すとあたかも宇宙服を着ているように見えると思われます。



これは「きぼう」と呼ばれる宇宙ステーションにおける日本の実験棟の実物大モデルです。写真が悪く、ご容赦。



宇宙飛行士が実験を行う「きぼう」の船内実験室。実験ラックが壁面にびっしりへばりついていました。若田さんの映像もこんな感じでしたね。



このラッパのようなもの、何だか分かりますか?これがロケットのエンジンです。細かな配管までは、この写真では見えません。私は始めてロケットエンジンを見たとき、「これは工業製品ではない。芸術品だ。」と思いました。




これは何だか分かりますか?これは、昔の気象衛星“ひまわり”の模型です。外見は大きさを含め、実際のものと全く同じものです。専門用語(ってゆーか業界用語)では、熱構造モデルと言いますが、設計を確認するために宇宙環境の熱真空状態や打上げ時の音響、振動環境を再現した試験を行ったときのものです。

他にも月周回衛星「かぐや」の実寸モデルや、別の建物になりますが宇宙飛行士養成棟、無重力環境試験棟などの見学施設があります。宇宙センターまでは、東京駅から高速バスで1時間ほどです。年中無休、無料なので、興味のある方は見学されてはいかがでしょうか?

帰りのつくばEXPRESSの中で名古屋大学の先生と大いに盛り上がりました。同じ年齢ということもあったかも知れませんが、どの大学でも同じような悩みがあることが分かりました(一安心)。

レイトン教授と○○准教授

以前に「レイトン教授 3D ~ 遠藤誠 3D CG監督 ~」というタイトルの記事を書かせていただきました(リンク)。レイトン教授で思い出したことがあります。





レイトン教授が映画になったのは皆さんご存知でしょう。映画公開の数週間前のことです。レイトン教授の着ぐるみが映画館にいたのを偶然見かけました。
指を前に出す決めポーズをしたレイトン教授と一緒に写真を撮っている人がいました。私も一緒に写真を撮りたかったのですが、妻も子ども達もレイトン教授を知らず、興味をもって貰えません。子ども達は「目が小さくて気持ち悪い」と言い出すほどです。
そのため、一緒の写真を撮る人がおらず、写真を撮れませんでした。二人並んであの決めポーズ をしたかったのですが・・・。

研究室の前に「レイトン教授と○○准教授」という写真があったら面白いと思いません?


注:画像はamazon.co.jpより引用させていただいております

2011年2月18日金曜日

取材を受けました。

JSTの「サイエンスニュース」で本学科の研究が取り上げられました


情報工学科の某研究室では、スマートフォン(Android端末)を用いたシステム、アプリケーションの開発に取り組んでいます。「スマートフォンのセンサの利用方法の展望」というテーマでの取材依頼があり、研究内容が取り上げられました。
なお、本研究内容の詳細は、以下のサイトでご覧いただけます。
http://www.cube.ic.kanagawa-it.ac.jp/mieru/


依頼元は独立行政法人 「科学技術振興機構(JST)」で、制作は「ティーエーシー」というTBS系の番組を多くつくられている会社です。

まず、先に当日の模様を。
ディレクターさんとカメラマンさんの二人がお越しになりました(スタイリストさんはいませんでした。残念(^皿^))。まずは、研究室でやっているものを実際に見せてほしいということで……。その前に情報学部棟の全景を。


この建物の7F、8Fに情報工学科の研究室があります。12Fには食堂やメディアホールという大講堂があります。天気のよい日の眺望は素晴らしいです。夕焼けがきれいです。




実際のモノをチェックしています。当方は、被写体として耐えられるかと戦々恐々。モノだけではなく、担当の学生はともかく(一応、こう言っておかないと……)教員は被写体として問題があるかも……




インタビュー撮影中の様子。ディレクターさんから「~について話してください」、「~はどうなっていくと思いますか?」などの質問が飛び、それに答えていく形式でした。どのような話の流れになるか分からないので、心の準備だけしておいてください、というのが事前の依頼でした。




インタビューの応答がスムーズにいかず(出来が悪く!!!)考え込むディレクターさんと話し手のビジュアルの観点からも心配している!!!カメラマンさんの様子

さて、その内容は・・・・
科学技術振興機構(JST)の「サイエンスニュース」
http://sc-smn.jst.go.jp/sciencenews/dailyscience.html
の中の「人気のスマートフォンを支えるセンサ技術(2011.2.7配信)」でご笑覧いただけます。

前半部分はある会社が開発したドライブレコーダの紹介です。それに続けて、2分26秒あたりから、冒頭の情報学部棟の建物に続いて研究内容である「見えるリモコン」の紹介があります。3分35秒頃からインタビューの模様が出ます。加速度センサ応用の今後の展望として、「記録計としての利用」、「入力インターフェースとしての利用」という2点から話をしました。
以下、映像の一部より



学生が実際に実演している様子。この絵は、端末の揺動動作による遠隔操作ですが、端末の画面上に映っている機器をタップ(押して)して操作するバージョンもしっかり撮ってくれました。感謝!!!



実は、”単純な動きの検知から複雑な動きの認識へ”ということを伝えたく、そのような説明もしたつもりでしたが、残念ながらその部分は採用されませんでした(うーーん、無念)。

感想)
学生は手際よく対応してくれました。(私よりも)立派でした。場慣れしているというか、何か妙に落ち着いていました。学生が頑張ってくれないと大学の研究室は機能不全に陥ります。

さすがにプロの方たちで、コンテンツの出来は素晴らしいと思いました。私のほうは、なかなか思うように話ができず、何回もNGをしてしまいました(;^_^A(最後はディレクターさんも妥協されたと思います)。これは伝えたい、というところが十分に伝わりませんでした。俳優の方の大変さ、難しさが実感できました。改めて、「キムタク」や「マツジュン」の立派さを認識しました。これからは、彼らを妬む、羨むことなく、尊敬したいと思います((敵?ながら)あっぱれ、とエールを送りたいです)。

レイトン教授 3D

レイトン教授 3D

~ 遠藤誠 3D CG監督 ~



巷では3Dテレビが話題ですね。NintendoのDSも新製品は3Dです。そして、その3D対応のソフトの中に、レイトン教授シリーズの新作があります。このレイトン教授シリーズは、情報工学科の卒業生である遠藤誠先輩が3D CG監督を勤めています。今までのレイトン教授は2Dでしたが、最新作の「奇跡の仮面」はNintendo 3DSでの登場です。遠藤誠先輩の実力が発揮されていることでしょう。





遠藤誠先輩は、本学で講義をしてくれています。左の写真は、そのときの遠藤誠先輩です。





遠藤誠先輩の活躍は、過去の記事「作品展示会 ~ 小池一夫 先生 など~」(リンク)で紹介しています。この記事は、2008年11月8日~9日に行われた幾徳祭(学園祭)で行われた、作品展示会の模様を紹介したものです。以下は、そのときの文章です。皆さんが知っているソフトやDVDがあるんじゃないでしょうか。


3D-CG監督 遠藤誠 先輩

攻殻機動隊(アニメ)やレイトン教授(任天堂DSのソフト)などで、3D-CG監督を務めています。代表的な作品を提示させていただきました。
  • 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
  • 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG
  • 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
  • The King of Fighters: Another Day
  • 図書館戦争
  • 精霊の守り人
  • レイトン教授 不思議な町
  • レイトン教授 月影の島
  • レイトン教授 悪魔の箱

■その他の有名な先輩1

Sonyのプレイステーション2(PS2)などに使われているCPUであるCELLを開発したメンバーに、情報工学科の卒業生が含まれています。その卒業生は、畠山明之先輩です。畠山先輩の活躍も遠藤誠先輩と同様に作品展示会で紹介させていただきました。(リンク

■その他の有名な先輩2

みなさんはGAINERをご存知でしょうか? Wiiリモコンは加速度センサーを使って、操作することが出来ます。そしてWiiリモコンとパソコンと連携することも可能です。このWiiリモコンのようなデバイスを自分で作るときに役立つのが、GAINERです。
GAINERの開発に深くかかわっているのが遠藤孝則先輩です。遠藤孝則先輩は、本学に来てGAINERの講義をしてくれたこともありました(リンク)

2011年2月16日水曜日

国際会議 AROB での研究発表

1月27~29日に大分の別府で開催された、Artificial Life and Robotics 16th ’11 (AROB) でM1の北見孝大君と佐賀亮介助教が研究発表してきました。国内で行われてた国際会議でしたが、日本人の研究者の他、韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパ圏など多種多様な国の人が参加しておりました。

M1の北見孝大君は、「Construction and analysis of purchase factor model by using creativity method」というタイトルで、ゲームソフトの購入要因モデルの構築プロセスについて発表しました。この研究は、「ブランドや広告,ジャンルなどがどれほど購入に影響を与えているのだろうか?」ということを詳細に数値で表して影響度が大きな要因を割り出し、製品企画や販売企画に役立てようというものです。また、この研究に関しては、3月にあるIADIS Information Systemにて報告する他、来年度の7月にも海外での発表を予定しています。


発表する北見君

以下はM1 北見君からのコメントです。
「今回の発表では、流暢な英語で発表する学生や、質疑応答で翻弄され自分を見失っている学生もいました。私はどちらかというと後者ですが、なんとかプレゼンテーションを成功させることが出来ました。これも熱心にサポートしてくださった佐賀先生や松本先生、応援してくれた家族のおかげです。(特に、直前で発表した佐賀先生が、25枚のスライドを10分で発表したときには、強い感銘を受け勇気をもらいました)
国際学会を経験して最も強く感じることは、機会の尊さです。社会に出てからでないと学べないこともたくさんあると思いますが、学生の内にしか経験出来ないこともたくさんあると感じます。異国の人とのコミュニケーションや見知らぬ土地での経験は、成功や失敗にかかわらず自分の糧になっていくと思います。これからもそういった機会には、多少無謀と言われても、挑戦していきたいです。まだ1年あります。今年は松本先生と佐賀先生の研究費が枯渇するまで、研究活動を頑張ろうと思います。」


左から,北見君,座長,佐賀先生

また、佐賀亮介助教の発表は、「Proposal of recommender system simulator based on small-world model」というタイトルで、Amazon.comなど推薦システムの動作を模擬するための環境に関する研究内容を報告しました。この発表には、本学情報工学科の四年生、岡本幸樹君が共著となり、彼の協力のもと報告されました。さらにその共著の岡本君が本研究の詳細を2011 International Conference on Data Engineering and Internet Technology (DEIT 2011) (URL: http://www.irast.net/conferences/DEIT/2011/ )にて、口頭発表する予定(採録済み)です。

研究タイトル
・Ryosuke Saga, Kouki Okamoto, Hiroshi Tsuji, Kazunori Matsumoto: Proposal of recommender system simulator based on small-world model
・Kodai Kitami, Ryosuke Saga, Kazunori Matsumoto: Construction and analysis of purchase factor model by using creativity method

修士論文発表会!!

修士論文発表会!!



2/14と15の2日間にわたり、情報工学専攻の修士論文発表会が開催されました。バレンタインデーに合わせたわけではありません。教員もそんなにヤボではありません。たまたま、そのような日程になってしまいました。問題があった学生も一部いるかも知れませんが、ご容赦ください(まず、いないな)。

修士課程とは、博士前期課程とも言われるもので、大学卒業後の2年間にわたって主として研究活動を行うコースです。修士論文とはその課程の修了の審査のために提出する論文です。審査に付随して発表会があります。卒論よりも発表時間は長く、審査も厳しいものがあります。

以下、当日のもようを写真ととともに。



事前の準備。パソコンとプロジェクターを確認しています。当然ですね。




エレベータ横には当日のプログラムが・・・。ポスター発表(修士課程1年)も同時開催されます。




副査(担当の先生以外に審査にあたる先生)から厳しい指摘や質問が飛びます。質問に対する応答能力が問われます。単に机上の知識ではなく、実験から得た知見や試行錯誤の導いた結果などが問われます。学生時代は得られた成果の出来よりも、特に過程が重要だと考えています(筆者の考え)。




質問しているのは、修士1年の学生。学生の積極的な質問も歓迎です。十分な質疑応答時間が確保されています(発表者には有り難くない?)。ちなみに、会場は寒くはありませんので、念のため。




こちらはポスター発表の会場です。こちらも討論が行われます。有益なコメントなどがあれば、今後の研究に大いに資することができます。

というわけで、今年も修士論文発表会が恙無く(“つつがなく”と読みますが、書けませんねん(笑))、終了しました。既に国内外の学会で発表したものも多く、ハイレベルな発表会でした。来年も先輩の努力を継承してレベルの高い修士論文発表会にしてほしいと思います。

2011年2月15日火曜日

雪を見ながら大学院進学を考える

雪を見ながら大学院進学を考える

 雪を見ていたら(「雪だるま」(リンク))、石川県にあり、名前が長すぎて、地元の人にもなかなかフルネームを覚えてもらえない国立大学を思い出しました。その国立大学は北陸先端科学技術大学院大学といいます。

 旧帝国大学などの工学部は、大学院進学率が半分から9割を占めます。情報工学科からも旧帝国大学には及びませんが、大学院進学者が多いです。成績上位7%が学費の全額免除、成績上位15%が学費の半額免除、成績上位3分の1が入学試験免除だからだと思われます。

 本学からの大学院進学先として、先述の国立大学を選ぶ学生も少なくありません。今年は、3人の学生が情報工学科から巣立っています。過去のブログを見ていてみると、みんなブログで紹介済みでした。大きく羽ばたいて欲しいと思います。

■記事「卒業論文提出日」より(リンク)。一番右の学生です。今年の卒研提出で、一番に受理されました。
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■記事「ゲームプログラミングの世界大会へ出場 ~ The JAIST Computer Olympiad にて~」より(リンク)

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■記事「RICOH Java Developer Challenge 2010出場までの道のり」より(リンク)。
正面から見て、後ろ側、左から2番目の学生です。
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この学生は、去年は同じ大会で、準優勝まで行きました。記事「準優勝-RICOH&Sun Developer Challenge 2009」より(リンク)。真ん中の学生です。
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雪だるま

雪だるま

建国記念日の日に、東京では雪が降りました。情報学部棟のそばにも積雪がありました。
建物のすぐ横に作られました
アップにするとこんな感じです

大学の正面入り口にあるイルミネーションを
背景に撮影してみました。
なかなか綺麗ですね。

2011年2月13日日曜日

卒業研究発表会

卒業研究発表会

卒業研究は卒論を提出して終わりではありません.最後の大イベント卒業研究発表会が待っています.2月10日,その卒研発表会が開催されました.

情報学部棟の3階と6階の教室が発表会場となり,5つのセッションが同時並行で進みます.発表前はみんな緊張してそわそわ.
 

各発表会場では,研究室の指導教員が座長を務めます.

学生は1年間の卒業研究の成果を10分間で発表します(発表8分,質疑応答2分).卒業研究は大学での4年間の集大成.その発表には気合が入ります.いつもラフな格好の学生も,このときばかりはスーツでバシッと決めます.
      

指導教員の他に2名の教員が発表を聞きます.鋭い質問や厳しくもありがたいコメントが飛びます.また,他の研究室の学生や,来年度,研究室に配属される3年生も熱心に聴講し討論に参加します.
 

セッションの最後には,発表者と熱心に討論していただいた会場の皆様に拍手で感謝の意を表します.


発表後は,晴々した笑顔でパチリ.発表後の達成感が伝わってきます.

 
 
みなさん,お疲れ様でした.