募集テーマ
(1)ITで解決する社会の問題
(2)ITを活かした未来の○○
(3)ITで盛り上げる東京オリンピック
募集期間:4月6日(月)~6月15日(月)
です。高校生のみなさん、是非とも応募してください。
さて、創造力についてです。むろん、この創造力の調査も、コンテストの目的にある「創造力を高める」を実現するために実施しました。創造力を生み出すための知見について調べていて、最初に行き当たったのは、ジェームズ・W・ヤング著「アイデアのつくり方」(CCCメディアハウス)(1988年)でした。とても小さい本で、102ページというのも、この本を読んでみようと思ったきっかけです。
この本の筆者は、アメリカの広告業界で創造的なコマーシャルを作成したことで名をはせた人物のようで、自分の経験を元に、アイデアの作り方について執筆をしたものです。この本では、創造的なアイディアを次のように定義しています。
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない(P.28)」
創造力に関する書籍は、ヤングの著書の解説を書いた竹内均先生の「頭をよくする私の方法」も読みましたが、同様な定義となっていました。
このように考えると、安心しますよね。「僕は、生まれつき創造力がないから…」なんて思っている人がいても、このように、既存のアイディアの組み合わせや、適用領域を変えるものといってもらえると、「自分にも何とかなるかな」と思えるのではないでしょうか。
また、これらの書籍では、創造性の有るアイディアの作り方についても説明しています。ヤングの本によると以下の5つの手順が重要であるということです。
(1)資料収集
(2)資料の消化
(3)孵(ふ)化
(4)誕生
(5)具体化と展開
既存のアイディアの組み合わせということは、提案したい領域における「今」がどうなっているか把握する必要があるということで、(1)資料の収集や(2)資料の消化があるのだと思います。
今回のIT夢コンについて言えば、自分が関心を持っている社会の問題について、いろいろな意見があると思いますので、それらを調べて自分なりに理解したり、また、未来の○○を提案するのであれば、○○の領域において、どのような取り組みがされたりしているかを把握することが重要になるのではないでしょうか。
このように、集めた資料をいろいろな角度から眺めることで、「新しい組み合わせ」を得ることができるということでしょう。
ヤングは、この段階で思いついたアイディアを、断片的なものでも突飛なものでもよいから、カード上の紙に書いておくことを勧めています。これを読んでアイディアを考えようと思っている皆さんも、試してみてはどうでしょうか。
(3)孵化と(4)誕生は、(1)(2)の過程で、自分なりに、全体像を把握し、課題や実現したいことの断片を頭に思い描いた後に、どうにも先に進めない状態になった後の話ということです。孵化をするために必要なことは、これまで考えてきたことを一切忘れて、創造力を刺激することをすること、ヤングは、音楽を聴いたり、映画を見たり、本を読んだりという作業が重要だと言っています。
ヤングは、ここまでの道筋をたどれば、必ず、創造的なアイディアが湧いてくると言っています。しかも、そのタイミングは、何気ないときに、ふと、ひらめくそうです。皆さんも、答えを出そうと頭をひねって考えていた数学の問題が、そのときには解けなくてあきらめてしまっても、その後、全然違うことをやっているとき、例えば、歯を磨いているとか、お風呂に入っているときとかに、ふと、解き方がわかったことがあるのではないでしょか。ここでの、孵化と誕生は、そのような、誰しもが、経験したことのある「ひらめき」の瞬間のことを指しているようです。
最後の(5)具体化と展開は、頭の中にひらめいたアイディアを具体的にして、他の人に話をしてみて、いろいろな意見を聞くことだとしています。よいアイディアは、他人の創造力も刺激して、考えた人が見落としていた可能性も明らかになっていく、と、ヤングは語っています。
関連しますが、創造力について調べると、G.ワラスの四段階説という考え方も、すぐに、見つかると思います。こちらは、5段階ではなく4段階で、しかも、1926年に発表された書籍に書かれているものです。このブログで紹介したヤングが、ワラスの書籍を読んでいたかどうかは、ヤングの書籍には書かれていなかったのでわかりません…
今回は、一気に書いてしまったので、少し長くなってしまいましたが、まずは、創造的なアイディアの作り方について、どのように理解されているかを説明させてもらいました。私も、今、一生懸命に、資料の収集をしている段階ですので、理解不足の点もあるかもしれません。誤りに気づいたら、ブログで訂正させてください:-)
次回は、この創造力の話と、学びの振り返りの話の関係を説明します。
【勝手バックナンバー】
その1 今年も開催しますIT夢コン!
その2 今年も開催しますIT夢コン! ~応募テーマの説明~
その3 今年も開催しますIT夢コン! ~応募テーマの説明2~
その4 今年も開催しますIT夢コン! ~ポスターセッションします~
(番外編) IT夢コンと高校生新聞
素晴らしい解説記事です。
返信削除さすがに理論派、知性派の○○先生だけのことはありますね。勉強されていますね。
“アイデアは既存のものの組み合わせである”は、ごもっともですね。ここで、重要なポイントは、単に1+1が2となるのではなく、1+1が、3なり4なりになるってゆーことですね。つまり、新たな価値を作り出す、ということになるかと思います。
個人的には、もう一つの観点からのアイデアとして
“あっちで使っている技術をこっちに持ってくる、”というものがあります。例えば、光回線の高速化は、無線技術として当たり前になっている技術を、光に適用することにより実現されました。他のところの手法を勉強することは難しく、往々に関係ないか、って思いがちですけど、感性を研ぎ澄ましてみれば・・・ってゆーことでしょうか?
そう考えていくと、確かに発明とは天才だけの特権ではなく、日頃から問題意識を持っている人、物事の本質を考えている人、勉強を怠らない人が行うもの、と言えるような気がしませんか?「自分にも何とかなるかな」と思ってほしいです。実際は、そんなに簡単ではないことは、その次の高みに行けば分かります。まずは、初段の高みに行ってください(笑)。
さて、その次にアイデアが出るシーンとして、歯を磨いているとか、お風呂に入っているときとか、とありましたが、私は軽くジョギングしているときがいいかな、と思います。減量にもつながりますし・・・(私自身は、アイデアも出ない、原料もしない、ですが)。外山滋比古先生の「思考の整理学」では、早歩きをして心に雑念がなくなったとき、とか書いてあった記憶があります。また、アンテナの研究で著名な後藤尚久先生は、○○の時に思いついた、とご著書(「アイデアはいかに生まれるか」にお書きになっておられました(本人から直接、お聞きもしました)。個人個人で異なって当たり前なのだと思います。型にこだわる必要はないですね。
次に、頭で考えるな、図に書く、表としてまとめる、ポイントを文章にする、ということで可視化して考えることをお勧めします。そうすることによって、関係者全員と考えを共有することができ、そこから新たな議論、発見が出てくる可能性が高まります。黒板の前でみんながそれぞれ特定のテーマについて、考えていることを書きだしてスタートしてみることはどうでしょうか?
ということで、ブログ記事の復習をしてしまいました。次回は、“振り返り”ということですが、非常に興味があります。どういう記事になるのでしょうか? 私自身は、振り返りはできていません。振り返りたくない、ということが多すぎます(笑、の場合ではない)。ともあれ、自分自身の成長を促すアクションであることは間違いなさそうです。私も楽しみにしています。
新しいアイディアを出せ、と言われても、確かにそんなに簡単ではないが、このブログ記事は、ヒントになることを解説してくれています。この夢コンテスト向けに、これをヒントに考えて、なにかひとつ生まれれば、その後の勉強や研究、発表などへつなげていけるのではないでしょうか。
返信削除ちょっとそれますが、紹介されている本の解説:竹内 均先生には、お会いしたことはないが、すごく親しみを持っていました。私が、田舎の高校生の時に、旺文社のラジオ講座というのを聞いていました。そのときの物理の先生が竹内均先生でした。もう故人になられていますが、いまでも思い出すことができます。