2013年2月20日水曜日

京都大学ICTイノベーション2013

京都大学ICTイノベーション2013というシンポジウムに参加しました。詳細は下記をご覧下さい。

会場は京都大学百周年時計台記念館

今年で7回目ですが、私は最近5回の連続参加となります。発表は、ほとんどが京大の修士、博士課程の学生です。(たまに助教の先生の発表もあります。)本学の卒論、修論発表会が終わって間もなくなので、我々との比較も念頭にあります。冬の京都は寒いです。京都へ行った時の昼食はニシンそば、と決めています。それを食べてから、京大へ向かいます。

新幹線の窓越しに写した京都近郊の冬景色

このシンポジウムは半日(午後いっぱい)のポスター展示です。発表タイトルは、数理的なもの(リーマン多様体、デジタルフィルタ、モンテカルロ法等)もありますが、どちらかというと文系的といいますか、Webサービスや入札戦略などのようなものが多いです。しかし、一見文系的な題目でも、実際は、数理的素養に裏付けられているという印象を受けます。 

約50件あるのですが、そのうち約20件については、別室で5分間プレゼンテーションがあります。これがなかなかよろしい。ジャスト5分で打ち切り、質疑応答はありません。質問などは、隣の部屋のポスターの前でどうぞということです。5分間なので、どの発表もポイントを良く説明しています。それを聞くとポスターへ向かう気になるものが多いです。

ひとつ例をあげると、「モンテカルロ法のイノベーション」というのがありました。プレゼンテーションでは、正方形に内接する円を描き、乱数で正方形内にランダムに点を打ち、全点に対する円内に入った点の個数の割合で円周率を求める、という例を出しました。これは高校(あるいは中学)の数学です。私の書いたJavaテキストの例題にもそれがあります。普通の乱数を使うと、円周率= 3.2くらいにはすぐなりますが、それ以上の正確さにはなかなか収束しません。提案された(乱数系列に特徴がある)新モンテカルロ法では、急速に良い値に収束することを示していました。そして、その乱数の構造をたいへん分かりやすく3D表示していました。「難しいことを易しく説明する」のは我々にとって難しいですから、とても参考になる発表でした。なんらかの積分をモンテカルロ法で求める問題は多く、実用面での期待も大きいようです。

もう一つ、ちょっと違うタイプの発表についても書きます。「クラウドソーシングを用いた翻訳システムの実現」という発表です。私は、分散システムを専門としていますので、SETI@home のようなシステムに興味があります。これは、地球外知的生命体の可能性を調べるため、宇宙からの膨大な量の電波データを細かく分割し、世界中の多数のPCの空き時間を使って(小さな部分解析を統合して)解析するものです。今回の「クラウドソーシング... 」は、対象はまるで違うのですが、海外向けの膨大な取説(マニュアル)などの翻訳をこれと同じ考えで実行するものです。つまり、翻訳対象の元書類の一文づつを、Web上の見知らぬ多数の働き手(少しの時間だけ、アルバイトとしてWebで仕事をしたい人)に分担させる。それを集約してゆく仕組みです。

発表タイトルや内容は、情報関係をやっている我々に近いものが多いです。使っている手法や、プレゼンの仕方も参考になる点が多いです。外に目を向けることはいつでも必要のようです。

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