2013年8月27日火曜日

i-Androidの会、CEATECに出展する

 通常、大学の先生は、横のつながりが薄いです。しかし神奈川工科大学の情報工学科は横のつながりが密です。日ごろからi-Androidの会で、情報交換をしています。その他にも色々情報交換したり、懇親を深めたりしています。

 今回、このi-Androidの会として、アジア最大級のIT分野の展示会であるCEATECに出展します。今まで田中博研究室が単独で出展していましたが、今回はi-Androidの会として出展します。そのため、出展期間も、従来の2日間から4日間の全期間としました。出し物は以下の通りです。

  • 超音波センサを用いた広域屋内測位システム
  • ここは何階?Android内蔵気圧センサで推定
  • 携帯端末向け高速文字入力法
  • カラー手袋を用いた手指形状認識システム

CEATEC公式サイトの出展者情報をご確認ください。
http://www.ceatec.com/ja/exhibition/detail.html?id=831
詳しくは以下の説明をご覧ください(内容の重畳がありますが、ご容赦ください)。


■超音波センサを用いた広域屋内測位システム

 屋外に関しては、GPSが測位システムとしてすでに一般的なものになっているが、屋内での測位手法として確立したものはない状況にある。無線LANやRFIDを用いたものも提案されている。

 我々はマルチパスの影響がない超音波を用いることで、無線を使用するものよりも高精度な測位が可能な測位システムを開発している。開発システムの特徴は、
  • 送信側と受信側での同期を必要としない、逆GPS法と呼ばれる手法を用いているため構成が容易
  • 各受信機にマイコンを用いて受信タイミングを検出し、それらをRS485によってカスケード接続する構成としているため、受信機を多数設置する広域なエリアでの測位要求に柔軟に対応可能
  • 電波を用いないため、干渉の問題がなく、また電波法の制約を受けない
という点にある。

 広域屋内測位システムとしての実用化のためには、経済的なシステムであることが必須である。この点に対しても、上記のように受信機設置の自由度が高いことから測位精度の条件に応じて、受信機を疎、密に配置することが容易であり、スマートフォンの慣性センサを用いた慣性測位と組み合わせることも可能である。

 評価実験から測位誤差は3cm程度以内に抑えられることを確認している。したがって、電波を用いた屋内測位では困難な高い精度での位置管理、動線把握や例えば個別の商品棚へのナビゲーション、展示物前でのガイダンスの送信等への応用も可能となる。

 展示会場では、走行模型列車に対する測位を行い、その有効性を実演する。

カラー手袋を用いた手指形状認識システム

 WEBカメラやスマートフォン内蔵の一般的なカメラで、手指の形状を認識するシステムを検討している。近年、KINECTなどのセンサによって身体の動きや形状を認識する研究が活発化しているが、本手法は赤外線ではなく、通常の光学カメラで実現することにある。これによって、スマートフォンなどでの利用が期待できる。

 
 
  
 提案システムは以下の特徴がある。
 
  • 指の折り曲げという単純な形状を提案することによって、高い認識率を確保するとともにユーザにとっても覚えやすい手指形状を提案している。
  • 独自のクラスタリング手法によって、環境による明度の違いによっても認識率を確保している。
  • 右手と左手の手指形状を同時に解釈することにより、一瞬で多様な情報を表現できる。
 展示会場では、左手:母音、右手:子音を表現することにより、簡易的な手話としての利用方法を提案、実演する。


■ここは何階?Android内蔵気圧センサで推定

□目的
 主に建物のなかでの、垂直方向の位置情報を低コストで得る方法の開発とその応用をねらいとしています。

□具体的な応用
(1)エレベータ稼働の遠隔モニタリング/解析
 ビル管理者や利用者も、エレベータの稼働状況を簡単に知ることができれば、省エネ意識の向上にも役立つはずです。また、エレベータの到着が遅くてイライラすることも低減できます。そこで、Android端末をエレベータ内に置いておくだけで、その稼働状況を離れた場所からモニタリングできるシステムを試作しました。

(2)ビルからの避難状況データの自動収集
 災害発生時にエレベータを使わずに、階段から避難する場合が考えられます。その避難訓練時に、多くの人の持っているスマートフォンに「何階を何時何分に通過したか」を自動的に記録するソフトを入れておけば非常に有用なデータがとれます。

(3)大規模施設での到着階マップの自動表示
 高層の大きな商業施設などに行った場合、エレベータを降りたとたんに、自動的にその階のフロアマップが、自分のスマートフォンに表示されれば非常に有用ではないでしょうか。

□階推定方式

 各階の気圧差は常にぼぼ固定であるという事実に基づいて、Android内蔵の気圧センサを用いて、現在の階を推定します。しかし、気圧は時間とともに(気温変化などに伴い)かなり大きく変動します。そこで、ある階に、基準気圧を測るサーバ(Android端末)を置き、その観測値を短い間隔で定期的にクラウドデータベースへ送出します。移動している人の(あるいはエレベータのなかの)Androidは、この基準気圧を受信して、自分の観測値と比較し、現在階を推定する方式を考案しました。
 Android端末は、その個体毎に気圧センサの初期特性が異なります。それを自動補正でき、さらに、基準サーバを置く階を簡単に変更できる仕組みも取り入れました。


■携帯端末向け高速文字入力法
タッチ画面を占有せず、キーボード無しで高速に文字を入力することができる入力方法を開発しました。

 キーボードは高速に入力することに最も適した装置であるが、携帯端末は小型なためキーボードが省かれていることが多いです。キーボードの代わりの入力装置として、各携帯端末で様々な工夫がなされており、テンキー、十字キー、数個のキー、画面のタッチなどが入力デバイスとして存在します。ところで、点字とは、盲聾者のための文字で、3行2列6か所の位置に凸をつける組み合わせで文字を表す方法です。近年6点以上のタッチを認識するスマートフォンが存在するため、これを利用します。本入力方法は、スマートフォンの画面を6等分し、それぞれの領域を点字の凸部分とみなし、凸部分として入力したい箇所を同時にタッチし、離すことで文字を入力する方式です。1文字入力に対して、1回のアクションで良いため、自然な入力方式となっています。
 フリック入力だと1分間あたり60文字程度の入力速度ですが、本方式では90文字/分程度で入力が可能です。
 今回お見せするデモソフトは、点字練習ソフトとして実装しています。Google playに公開中です。
 入力方法は点字ですので、点字を覚えてしまうというメリットもあります。

 今後は、IMEとして実装することで、本入力方法を広く普及させることを目指しています。

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