2012年1月13日金曜日

2年連続受賞!! HASC Challenge 2011

2回 HASC Challengeシンポジウム(http://hasc.jp/hc2011/)が、昨日(11日)、慶応大学 三田キャンパスで開催されました。HASCとは、Human Activity Sensing Consortiumの略で、日本語的には人間行動センシングコンソーシアムという感じです。音声や画像の認識技術はいろいろな分野で使用されているのに対して、人間の行動そのものの認識(今、何をやっているのか?何の仕事をやっていたのか?)に対する技術は、まだ緒についたばかりで、多くの研究者、技術者が取り組んでいる課題です。特に、最近はスマートフォンに加速度センサが内蔵されていることもあり、それを使って行動推定する取り組みも多く見られます。

上記は専門用語では、ライフログといいますが、仕事で作業記録を書かなければならない人にとっては、それを自動でやってくれれば嬉しいですね。また、相手が忙しい/ヒマの状態が分かれば、連絡手段の選択も可能になります(メール/電話の選択など)。

今年は、全国から19チームが参加しました。情報工学科のある研究室は去年の第1回より参加しており、今年も参加しました。各参加チームはプレゼンテーション形式で、自分たちの取り組みの紹介や与えられた課題(日常生活における各種行動の推定)に対する検討結果を発表しました。

 河本君は、身体の動きによって発生する加速度データを取得し、そのデータから歩行や階段の上下など室内での行動を推定せよ、とのHASCの課題に取り組みました。加速度センサをズボンポケットに入れたり、腰につけたり、胸ポケットに入れたりして多種多様なデータを取得しました。これも受賞の一因と思います。

 データからどのように推定するかがポイントで、様々な方法が提案されています。我々は、去年はマハラノビスの距離という統計的手法を使いましたが、今年は河本考案式+決定木による方法を適用しました(高校生には難しいですね。高校時代に基礎をしっかりやっておくと、より高度なことを素早く吸収、自分のものにできます。勉強もしっかりやっておいてください。)。

発表中の学部4年 河本君。前の席に人が座っていないのは、どこでも同じということが分かります。教員も学生には、「前に座るように」と言いながら、教授会ではちゃっかり後ろに座っています。いけませんね。

今回の受賞は以下の4大学です。
・データ収集貢献賞 神奈川工大
・チャレンジ特別賞 東京農工大
・   〃     名古屋大学
・   〃     立命館大学

 去年と同じ賞を受賞しました(リンク)。データに女子学生も含めたこと(往々にして他の大学は男だけのデータのようです)、Android端末と同じ形の治具を製作してそれへの展開を考慮したこと、ビデオ撮影も行うなど各行動データの記録が正確にされていることなどが評価されたと思います。もちろん、データ解析もきちんと行っています(つもり)。

 河本君曰く、「女性の動きによる加速度は小さいので、男性のデータを用いて予測すると精度が出ない」とのことです。女性は女性ということです。ある意味、日常の動きの加速度波形そのものから性別分析も可能かも、ということですね。

表彰される河本君の雄姿?社会に出てからも賞をたくさんもらってください。私は卒業式のときに、先生から世の中から受賞される人間になってください、と今から30年近く前に言われたのですが・・・

 今回の成果は研究室が一丸となって、彼のデータ取得に協力したことが大きいです。実際、研究室に女子学生はいませんが、どこからか女子学生の協力を取り付けてデータ取得をやってもらっていました。私にもできないことをできる学生が研究室にいます(私の研究室を希望してくれた女子学生はこれまで0人です。退職までには何とかしたいです。)。まさしく、研究室全体の成果でもあるかと思います。

彼の指導役の修士1年 秋山君(写真左)とのツーショット。いろいろ大変だったと思いますが、賞状の重みを感じているはずです。河本君は4月から社会人ですが、これを刺激として、ますます目標達成への推進力抜群の技術者となってほしいと願っています。


 他大学と触れある機会は必ずしも多くはありません。学会参加やこのような機会での他大学との交流によって触発を受けたり、より高いレベルで頑張っている人を見て、今後の目標にすることを期待しています。

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